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simples×ADI コラボディナー 1.


こんにちは。sinplesのオーナーシェフ、井上です。

まだ寒さが残る、2月15、16日。
simplesと中目黒にあるネパール料理レストランADIと、二夜限りのコラボディナーを開催しました。
双方のお客様に「こんな組み合わせは初めて」と、喜んでいきただき、感無量です。出会いは4年ほど前、友人からの紹介でした。ある日、ふらりと食べにきてくれ、おいしいと感想をくれたことを覚えています。社交辞令かと思ったのですが(笑)、しばらくして二週間ほど研修をしたいとの申し出がありました。

カンチャンシェフは、ネパール南部ヒマラヤ山脈のふもとにあるチトワン郡出身です。
「産地から食卓へ」という思いを大切にしているので、日本でレストランを経営するなら、海産物を使いたいと考えていたそうです。

ネパールは、豊かな山岳地帯。一方で、内陸国なので海がありません。海がないということは、海産物を使った料理経験が少ないということです。なので、日本の魚について学びを深める機会を探していました。共に働いてみると、彼の味覚が優れていることに驚きました。ネパールの大自然で育くまれた、野生的な感覚なのかもしれません。

ネパール料理といえば、スパイスやカレーが有名ですが、ADIは、スパイスを多用しません。素材の風味を生かし、通常よりも10分の1ほどの量のものもあります。例えば、カレーはスパイシーというよりも、お茶漬けのようなさらりとした風合いです。主張が強すぎないため、すっと食べられる。そういった繊細な味わいに、日本の食文化との類似点を感じました。



当日のコース料理は、前菜からデザートまで12品ほどご用意をしました。それぞれの一皿に、アルコールとノンアルコールのペアリングを仕立てていきます。カンチャンシェフは、チャイの専門店も営んでいるので、チャイの茶葉やスパイスを取り入れ、今までにない味わいを探求しました。

料理は、何よりも味の組み合わせが大事です。頭で思い描き、手先を動かしていく。一皿の中で、直感的にコーディネートをしていくイメージです。だからこそ、その日の食材によって何百通りもあるのが面白い。まさに一期一会であり、コラボディナーでは、その良さをさらに体感しました。

僕達の共通点は、違う要素のものを取り入れる姿勢です。飲食というカテゴリーにこだわらず、アパレルや音楽など、いいと思ったものは、どんどん取り入れていく。固定概念を持たず、好奇心のままに取り組む姿勢は、料理と通ずるものがあるかもしれません。決められたいいものを並べるだけでは、一般的な物販と変わらない。整えられたたものは素敵ですが、それだけでは面白みがない。毎日、同じ食材、空間はないからこそ、その瞬間のひらめきを形にしたいのです。

simples×ADI コラボディナー2.へ続きます。

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